カップルで不妊治療に対する温度感が違う……。これは本当によくある相談のひとつで、当事者にとってはとてもつらい状況です。
こちらから強く言ってけんかにはなりたくない。でも、まるで他人事のようにかわされると、どうしても憤りを感じてしまいます。「もう少し自分で調べて、勉強してほしい」と思う場面もあるでしょう。
答えはひとつではありませんが、妊活に対する温度差があるパートナーとどのように向き合えばよいのか、一緒に考えてみましょう。
パートナーが治療の必要性を理解してくれない理由は?
パートナーが治療の必要性を理解してくれない背景には、どのような理由があるのでしょうか。
そもそも不妊治療や妊娠の知識に乏しい
多くの人は、学校で妊活や不妊治療について学ぶ機会がありません。妊娠の仕組みについても、うっすらと習った記憶がある程度、という人がほとんどではないでしょうか。
実際、女性であっても、ネットやSNS、雑誌などを通して“必要になってから”知識を得たという人が少なくありません。
もしパートナーが妊娠や不妊治療についてほとんど知識がなく、必要性を理解していないのであれば、まずは卵子や精子の老化、年齢による妊娠率の低下、不妊の原因などについて説明してみましょう。
ネットやSNSの情報は信頼性にばらつきがあるため、一般社団法人日本生殖医学会のQ&Aや、日本産科婦人科学会の高度生殖医療(ART)データデータなど、公的な情報を用いるのもひとつの方法です。データや信頼できる情報をもとに説明することで、治療への理解が進み、協力的になる男性もいます。

自然な妊娠という固定観念
実は、不妊治療を「人工的なもの」と捉え、抵抗を感じる人は一定数います。「命は自然に授かるもの」「人が介在するべきではない」——そのような考えを持っている場合、検査や治療そのものに違和感や拒否感を抱きやすくなります。
とくに男性の場合、「自然に任せていればいつか授かるはず」「わざわざ治療をしなくても何とかなるのではないか」と考え、積極的に向き合おうとしないことも少なくありません。
不妊治療を選ぶことが、自然な営みを否定しているように感じてしまう人もいます。
しかし、不妊治療は妊娠しにくい原因を調べ、必要に応じて妊娠をサポートするための医療です。
クリニックに行きたくない・検査を受けたくない
不妊治療の知識や情報は持っていても、自分がクリニックに通うことには消極的な男性もいます。仕事が忙しい、検査を受けたくないなど、理由はさまざまです。
よくある理由のひとつが、「自分に原因があったらどうしよう」という不安です。検査によって男性不妊がわかった場合、自尊心が傷つくのではないか、男らしさを否定されるのではないかと感じる人もいます。そうした不安から、受診を避けてしまうことがあるのです。
また、精液検査に対する気恥ずかしさや抵抗感が強く、曖昧な返事でその場をやり過ごそうとする男性もいます。
さらに、「治療は女性がするもの」「自分は言われたら付き添う立場」と考え、仕事を調整してまで一緒に受診する必要はないと思っている場合もあります。その結果、パートナーからは「協力的ではない」「他人事のように見える」と感じられてしまうこともあるのです。
ライフプランについてしっかり話し合おう
ここまで紹介した理由以前に、そもそもパートナーが妊娠についてどれほど悩んでいるか、深刻に受け止めていない男性もいます。そのようなパートナーとは、これからのライフプランについて改めて話し合う時間を持つことが大切です。
まずは、自分の気持ちや不安を率直に伝えましょう。そのうえで、将来のライフプランや不妊治療の必要性について話し合ってみてください。
子どもが1人欲しい場合、2人欲しい場合、3人欲しい場合で、妊活や体外受精を始める年齢の目安が変わるという報告もあります1)。そのようなデータを参考にしながら、これからの人生設計について、カップルで一度じっくり話し合うことが大切です。
妊活に対するカップルの温度差は、決して珍しいものではありません。背景にある考えや不安を知り、正しい情報を共有しながら、少しずつ歩み寄ることが大切です。一人で抱え込まず、2人で同じ未来を描くための対話を重ねていきましょう。
参考資料
1)Habbema JDF, et al. Realizing a desired family size: when should couples start? Hum Reprod. 2015;30(9):2215-2221.




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