心がざわつくのは普通のこと
まず、心がざわつくのはとても自然なことなのだと考えてみましょう。
そもそも、個人のプライベートに土足で踏み込んでくるほうが間違っています。子どもを持つかどうかは、その人自身が決めることで、他の誰かが口を出す話ではないからです。
言った本人に悪気がなかったとしても、言っていいこと・言うべきではないことがあります。妊娠や出産に関する話題は、まさに後者にあたります。
残念ながら、今もなおその感覚を理解できていない人は少なくありません。挨拶の延長のような軽い気持ちで聞いてくる人もいます。でも、言われた側の心がざわついてしまうのは、ごく普通の反応です。
治療のことを話す必要はない
何度も子どものことを聞かれると、「不妊治療のことを話したほうがいいのかな」と思う瞬間もあるかもしれません。でも、話したくない相手には無理に話す必要はありません。たとえ両親や兄弟であっても、話さないという選択に何も問題はありません。
誰に話すのか、誰には話さないのかは、あらかじめパートナーと決めておくと安心です。ここがズレていると、後々トラブルの原因にもなります。
また、特定の人に話す場合は「他の人には話さないで」と事前にお願いしておいたほうが安心です。ウワサ好きな人がいる環境なら、誰にも話さないという選択肢もあります。「ここだけの話」が気づけば広まっている……というのは珍しいことではありません。
相手との距離の取り方を考えてみる
会うたびに「子どもは?」と聞いてくる相手とは、少し距離を置いてみるのもひとつの方法です。
特に友人の場合、本当にストレスを抱えてまで会わなければいけないのか、一度考えてみてもいいかもしれません。「よくよく考えたら別に会わなくても困らないかも」と思う場合もあるでしょう。
断り方の例をいくつか挙げてみます。
「最近プライベートも仕事もバタバタしていて……。また落ち着いたらこちらから連絡するね」
「ちょっといろいろあって、人と会う余裕がなくて……」
「今はあまりプライベートな話をしたくなくて……」
人間関係に合わせて、使いやすい言い回しを選んでみてください。
ただ、「その日は難しいから、また別の機会にね」という断り方は、相手に期待させてしまうので避けたほうがよいかもしれません。何度も同じ断り方をするのはお互いに負担になります。
また、友人とつながっているSNSでは投稿内容にも少し注意しましょう。投稿内容によっては「誘いを断ったのに……」と思われてしまうこともあります。

友人以上に難しいのは、親や身内の存在かもしれません。距離を置くのが現実的でない場合もあるでしょう。遠方なら会う回数を減らすという方法もありますが、近くに住んでいるとそういうわけにもいきません。年末年始の帰省など、避けにくい場面もあると思います。
他人には適度に距離をもって接することができる人でも、身内だと当たり前のようにプライベートに踏み込んでくることがあります。そのような相手に治療の話をすると、さらに詮索される可能性もあるので、基本的には触れないほうが安心です。
とはいえ、完全に何も言わないと、ずっと「子どもは?」と言われ続けるかもしれません。そのようなときは、会う前にメールなどで先手を打つ方法もあります。「子どものことは夫婦で決めたいので、この話題には触れないでほしい」と事前に伝えておきましょう。義理の家族の場合は、パートナーから伝えてもらうほうが、角が立ちにくいこともあります。
それでも改善されない場合は、思い切って帰省を控えたり、滞在時間を短くしたりする選択もあります。
自分の心を守ろう
悪意のない言葉だとしても、あなたが傷ついてしまうのであれば、我慢して相手に合わせる必要はありません。
少しでも距離を置ける相手なら、無理のない範囲で接するようにすると気持ちが楽になるかもしれません。
あなたが安心して話せる人がいるのであれば、その人に少しだけ気持ちを吐き出すのもひとつです。言葉にしなくても、そっと寄り添ってくれる相手がいるだけで気が楽になることもあります。クリニックのカウンセリングなどを利用してもいいでしょう。
「嫌だな」「つらいな」と感じた気持ちは、決してわがままではありません。自分を守るための大切な感情です。どうかその声を無視せず、あなたが安心できる距離感や関わり方を選んでいきましょう。













