【Vol.19】「『ちゃんと育てなきゃ』と思うほど苦しくなります」“正解探し”に疲れた気持ちとどう向き合う?

育児について調べるほど不安になる、SNSを見ては誰かと比べて落ち込んでしまう……。「ちゃんと育てなきゃ」と思うほど苦しくなっていませんか?比べてしまうのは、赤ちゃんを大切に思っているからこそ。正解探しに疲れた気持ちとの向き合い方について、助産師がやさしくお伝えします。

【Vol.19】「『ちゃんと育てなきゃ』と思うほど苦しくなります」“正解探し”に疲れた気持ちとどう向き合う?

最終更新日:
2026-03-10
公開日:
2026-03-10
女性のイラスト女性のイラスト女性のイラスト女性のイラスト女性のイラスト
育児について調べれば調べるほど、「これで合っているのかな」と不安になります。 SNSやネットの記事を見るたびに、ほかの人と比べて落ち込んでしまい、「ちゃんと育てなきゃ」と思うほど気持ちが苦しくなります。 情報が多すぎて、何を信じたらいいのかわからなくなってしまいました。

比べてしまうのは、とても自然なこと

「育児について調べれば調べるほど、不安になる」「SNSを見るたびに、比べて落ち込んでしまう」、これは産後ケアの場でも本当によく聞く言葉です。「『ちゃんと育てなきゃ』と思えば思うほど気持ちが苦しくなる」という思いを抱えながら赤ちゃんと向き合っている方はたくさんいらっしゃいます。

誰かと比べてしまうのは、実はとても自然なことです。比べる力は、環境を判断したり、危険を避けたり、よりよく生きようとするために人間に備わっているものだと言われています。育児の中で誰かと比べてしまうのも、赤ちゃんと少しでもよい関わりをしたい、赤ちゃんにとって安心できる環境を整えたいという思いがあるからこそなのかもしれません。

ただ、責任感が強くて真面目な方ほど、比べることで自分はできていないと感じやすく、苦しさを抱えやすいように思います。

特にSNSは要注意です。投稿されているのはその人の生活のすべてではなく、うまくいった場面やきれいに切り取られた一瞬がほとんどです。けれど「ちゃんとしなきゃ」という気持ちで見ていると、誰かのできているところと自分のできていないところを並べてしまいがちです。

頭ではわかっていても、自分の心がついていかないこともありますよね。

「正解はない」と言われて、余計に困ってしまうとき

世の中には「子育てに正解はない」「答えは目の前の子の中にある」といった言葉があふれています。でも私は、その言葉がかえってお母さんを戸惑わせたり、追い詰めたりしてしまうこともあると感じています。

産後ケアの場でも「正解がないなら、何を頼りにしたらいいの?」「わが子の中に答えがあると言われてもわからない」という声をよく聞きます。さらに、SNSやネットには情報があふれていて、何を信じたらいいのかわからないという苦しさも重なります。迷いや不安を感じるのは、とても自然なことだと思います。

たとえば離乳食を例に考えてみましょう。SNSで生後6か月の赤ちゃんがもりもり食べている様子を見たあと、目の前のわが子がお粥を口から出しているのを見ると、「作り方が悪いのかな」「発達が遅れているのかな」と不安になりますよね。そんな相談をよく受けます。

そのようなとき私は、食べる・飲み込むための口の動きや、舌やのどの発達についてお伝えしながら、今この子が育ちのどのあたりにいるのかをお母さんと一緒に見ていきます。すると「この子はまだ舌で押し出す時期なんだ」「今はこのペースでいいんだ」と、その子自身の育ちが見えてきます。つまり、大切なのは、“SNSで投稿されているあの子”と同じようにすることではなく、“目の前のわが子”に合った進め方を問い続けていくことなのだと思います。

子育ての悩みは、体のこと、心のこと、環境のこと、その子の個性など、たくさんの要素が絡み合っています。「こうしたら、こうなる」というひとつの正解があるわけではありません。だからこそ、「どう育てるか」という正解を探すより、「この子とどんな道を歩みたいか」を見つけていくことが大切なのではないでしょうか。

悩んだり、迷ったり、考えたりしながら選んでいく。その過程そのものが、もうすでにちゃんと子育てしていることなのだと思います。

迷いながら歩む時間も、親子の大切な一歩

子育てをしていると、はっきりした答えが見えなくて、立ち止まったり迷ったりする時間もたくさんあるでしょう。

でも、すぐに答えが出なくても大丈夫です。迷いながら考えているその時間も、親子の歩みのひとつです。あなたがその都度立ち止まり、考え、選んできた一歩一歩が、親子のかけがえのない時間になっていくのですから。

だからこそ、わからなくて戸惑っている自分の気持ちも、そっと大切にしてあげてくださいね。

ポップアップ/別タブ

同じタブ

この記事をシェア

Cuepodのオンラインカウンセリングを試してみませんか?

関連記事

【Vol.18】「産後、周りに『大丈夫?』と聞かれるのがつらいです」気遣いが負担になるとき
【Vol.17】「赤ちゃんのことは心配なのに、自分の体の不調を後回しにしてしまいます」産後の“なんとなく不調”を見過ごさないで
【Vol.16】「赤ちゃんとずっと一緒にいるのがつらいです」母子密着による“負荷”をどう調整する?
【Vol.15】「赤ちゃんが泣き止まないと、自分が責められている気がします」その“つらさ”が生まれる理由
【Vol.14】「妊娠中、パートナーへの気持ちが冷めたように感じます」パートナーへの“温度差”は自然な変化?
同じカテゴリーの記事一覧

同じシリーズの連載記事

【Vol.19】「『ちゃんと育てなきゃ』と思うほど苦しくなります」“正解探し”に疲れた気持ちとどう向き合う?
【Vol.18】「産後、周りに『大丈夫?』と聞かれるのがつらいです」気遣いが負担になるとき
【Vol.17】「赤ちゃんのことは心配なのに、自分の体の不調を後回しにしてしまいます」産後の“なんとなく不調”を見過ごさないで
【Vol.16】「赤ちゃんとずっと一緒にいるのがつらいです」母子密着による“負荷”をどう調整する?
【Vol.15】「赤ちゃんが泣き止まないと、自分が責められている気がします」その“つらさ”が生まれる理由
【Vol.14】「妊娠中、パートナーへの気持ちが冷めたように感じます」パートナーへの“温度差”は自然な変化?
【Vol.13】「産後、気持ちが落ち込んで家にこもりたくなる」外に出られない自分を責めないで
【Vol.12】「出産を思い出すと涙が出ます」“トラウマ出産”を抱えたままのあなたへ
【Vol.11】「妊娠中なのに幸せを感じられない」喜べない自分を責めないで
【Vol.10】「出産してから自分じゃないみたい」この気持ちはおかしいですか?
【Vol.9】「妊娠中、理由もなく涙が出てしまいます」情緒不安定なのは性格のせい?
【Vol.8】「上の子にイライラしてしまって、自己嫌悪になります」上の子に優しくできない自分はダメですか?
【Vol.7】「妊婦健診で『体重増えすぎ』と言われるのが怖い」体重チェックのストレスとどう向き合えばいい?
【Vol.6】「出産後、性生活再開のタイミングに悩んでいます」産後のパートナーシップと性生活、どう向き合う?
【Vol.5】「産後3か月。体重も体型も全然戻りません。ダイエットしてもいいですか?」栄養バランスと体を“整える”ことを意識しましょう
【vol.4】「出産が怖くて前向きになれない」臨月の不安は“赤ちゃんを守ろうとする力”です
【vol.3】「つわりと仕事の板挟みがつらい」妊娠中に大切にしたいのは頑張ることではなく“自分への思いやり”です
【vol.2】「『また流産したらどうしよう…』と怖くなります」その不安とどう付き合えばいい?
【vol.1】「母乳が出ていても完ミ(完全ミルク育児)にしたい……」その気持ちは甘えではありません