そのお気持ち、戸惑いや不安を感じているのではないでしょうか。妊娠中にパートナーとの距離感が変わることは、決して珍しいことではありません。
妊娠中に起こる心と体の変化
妊娠中は、体の中でさまざまな変化が起こるときです。つわりや血流の変化、ホルモンの影響などによって、味覚や嗅覚が変化したり、吐き気や眠気などの不快感が出やすくなることがあります。
そのため、体がいつも以上に外からの刺激に敏感になることも少なくありません。これまで気にならなかった香りや感触が、急に苦手になることもあります。
妊婦健診でも「妊娠したら、セロリが食べられなくなった」「今まで平気だった柔軟剤のにおいが、つらくなった」「洋服のちくちくした感じが気になるようになった」といったお話をよく耳にします。こうした感覚の変化は、妊娠中によくみられるものです。
また、体調の変化や流産・早産への不安などから、妊娠中は性欲が抑えられている傾向がみられることも知られています。
お腹に赤ちゃんを授かると、「これからお母さんになるんだなぁ」という気持ちが少しずつ芽生え、意識がお腹の赤ちゃんへと向かいやすくなります。
こうした体や心の変化にともなって、パートナーとの関係性や距離感が変わっていくことも、決して珍しいことではありません。

これは私の体験ですが、2人目の子を妊娠したとき、上の子が私のお腹や胸に触れることに、強い抵抗を感じるようになりました。
長男のことはとてもいとおしく、大好きでした。それでも直接肌に触れられると、どうしても「ぞわぞわ」とした感覚が起きてしまい、「こんなに大好きなのに、どうして?」と私自身とても戸惑いました。
洋服を着た状態でのスキンシップなら大丈夫だったので、膝にのせて絵本を読んだり、手遊び歌で一緒に遊んだりと、日常の中でふれあう時間を意識的に増やしました。その代わり、お風呂はお父さんと一緒に入ってもらうようにしました。
そして、2人目の子が生まれてしばらくすると、触れられたときの違和感はいつの間にかすっかりなくなっていました。
戸惑いは、新しい家族の関係性が育まれているサイン
「妊娠して、親になる」ということは、体だけでなく、気持ちや人との関係性も変化していく過程です。
パートナーとの関係も、これまでの「恋人」という関係性に加えて、「赤ちゃんの親」という新しい関係性が重なり合い、少しずつ形を変えていきます。変化の過程では、不安や寂しさ、戸惑いを感じることがありますが、それは決しておかしなことではなく、ごく自然な反応です。
今感じている違和感や距離感は、妊娠をきっかけに関係性が変化している途中であることを教えてくれているのかもしれません。
パートナーとの関係が損なわれているのではなく、赤ちゃんを含めた「新しい家族の形」を作り直している過程にいるのだと思います。
その戸惑いを「なかったこと」にせず、新しい家族の関係性を育んでいくための材料として、そっと大切にしてみてください。
一緒に育む感覚を、少しずつ
たとえば、これまで一人でお腹の赤ちゃんに話しかけていたのであれば、パートナーと一緒に話しかけてみる。「赤ちゃんが生まれたら、どんなことを一緒にしたいか」を話してみる。可能であれば、一緒に妊婦健診に行き、エコーの画像を見てみるのもよいかもしれません。
妊娠中は、「母親としての自分」を作り上げている途中のときです。そのなかで、親しい人との距離感を、もう一度とらえなおしているのかもしれません。
「今は少し距離があったほうが心地いい」「離れすぎると、ちょっと寂しい」そんなふうにパートナーとの距離を調整しながら、自分たちらしい家族の形を少しずつ作り上げていってくださいね。


















