公開日:
2025-08-28
最終更新日:
2025-08-28

「妊活中はどんな食事をしたら良い?」

「男性が取り入れたほうが良い食事はある?」

妊活中の食事は妊娠に向けた体をつくるために大切です。しかし、具体的にどんなものを食べればよいのか悩んでしまうのではないでしょうか。

本記事では、妊活中の女性に向けて以下を解説します。

  • 女性に必要な栄養素と食事内容
  • 男性におすすめの栄養素と食事内容
  • 食事以外で注意すべき2つのこと

妊娠中は避けたい、または摂り過ぎに注意したい食べ物・飲み物も解説しているため参考にしてみてください。

妊活中の女性に必要な栄養素と食事内容

妊活中の女性は食事から以下のような栄養素をバランス良く摂取することが大切です。

  • 炭水化物
  • 葉酸
  • 鉄分
  • たんぱく質
  • カルシウム

それぞれの栄養素を効率的に摂れる食材の例も解説します。

1.炭水化物|エネルギーの源になる主食を中心に

妊活中から妊娠に向けて、エネルギーの源になるごはんやパン、麺類など、炭水化物が豊富に含まれる主食を十分に取れるように心がける必要があります。妊娠後は、以下のように妊娠前よりも余分にエネルギーを摂取する必要があるためです。

妊娠経過 余分に必要なエネルギー
妊娠初期(〜13週6日) 50kcal
妊娠中期(14週0日〜27週6日) 250kcal
妊娠末期(28週0日〜) 450kcal
授乳期 350kcal

 (出典:厚生労働省 妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針

現在の日本人女性は、日頃から十分なエネルギーを摂取できていない状態です。妊活中は妊娠後を想定して、意図的に十分な主食を摂取できるように心がけてください。1日3回の食事で十分に主食を摂ることが困難である場合は、間食でおにぎりやパンなどを食べるとよいでしょう。

2.葉酸|不足しがちな野菜から十分に摂る

妊娠中や授乳中の女性において、ビタミンの摂取が不十分であるとの報告があります。特にビタミンBの1つである葉酸は、妊活中から重要な栄養素です。葉酸は、胎児の先天異常である神経管閉鎖障害などを予防するために、妊活中から十分に摂取する必要がありまするためです。

妊活中に必要な葉酸の量は1日400μg、妊婦は1日480μgの摂取が推奨されています。以下を参考にして、十分な葉酸を摂取してください。

葉酸を多く含む野菜や果物 葉酸の含有量(100gあたり)
洋種なばな(茎葉、ゆで) 240μg
グリーンアスパラガス(ゆで) 180μg
からしな 310μg
さつまいも(皮むき、蒸し) 50μg
ほうれん草(ゆで) 110μg
枝豆(ゆで) 260μg
いちご 90μg
白菜 61μg
春菊(ゆで) 100μg

 (出典:厚生労働省 妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針

3.鉄分|肉や海藻、野菜を組み合わせる

女性の体は月経などにより多くの鉄分を必要とします。妊娠すると胎児の成長や臍帯・胎盤中への鉄の貯蔵、血液量の増加などに伴って、さらに多くの鉄分が求められます。しかし、現代の日本人女性は鉄分を十分に摂取できていないのが現状です。

20代女性に必要な鉄分は1日6.5mgとされています。妊娠初期では+2.5mg、中・後期では+9.5mgの摂取が推奨されています。以下を参考にして、妊活中から十分な鉄分を意識して摂取しましょう。

鉄分を多く含む野菜 鉄分の含有量(100gあたり)
小松菜(ゆで) 2.1mg
そば(ゆで) 0.8mg
そらまめ(ゆで) 2.1mg
あおのり(素干し) 77mg
カシューナッツ 4.8mg
さつまいも(皮むき、蒸し) 0.6mg
大根葉(ゆで) 2.2mg
ほうれん草(ゆで) 0.9mg
チンゲン菜(油炒め) 0.9mg

 (出典:厚生労働省 妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針

4.たんぱく質|多様な主菜を組み合わせる

現代の女性はたんぱく質も不足しがちです。たんぱく質は、胎児の体を作る重要な栄養素です。妊活中から意識的に摂取できるようになっておいたほうがよいでしょう。

20代の女性に必要なたんぱく質の摂取量は1日50g。妊娠中期では+5g、後期は+25gと余分に必要です。たんぱく質は、肉や魚、卵、大豆に豊富に含まれており、さまざまな主菜を組み合わせて十分に摂ることが理想的です。

しかし、実際にはそのような食生活は難しいもの。缶詰やサラダチキン、豆腐など手軽に取り入れられる1品を食事に追加して摂取してみてください。

5.カルシウム|乳製品や緑黄色野菜、小魚から摂取する

妊娠や出産に適した体を作るには、妊活中から十分なカルシウムを摂取することが大切です。カルシウムは、胎児の体を作ったり授乳を通じて母親の体から失われるため、意識的に補う必要があります。

しかし、現代の女性はカルシウム摂取量が平均的に少ない傾向。カルシウムは乳製品や緑黄色野菜、豆類、小魚などに豊富に含まれています。以下を参考にして、さまざまな食材を組み合わせて摂取することが大切です。

カルシウムを多く含む食材 カルシウム含有量(100g)
牛乳 110mg
スキムミルク 1100mg
プロセスチーズ 630mg
干しエビ 7100mg
サバ味噌煮(缶詰) 210mg
わかさぎ 450mg
ししゃも 330mg
小松菜(ゆで) 150mg
かぶ葉(ゆで) 190mg

体重や年齢によって必要な栄養量は異なります。ご自身に最適な摂取量や栄養バランスについては、ぜひケアコーディネーターへお気軽にご相談ください。

妊活中の男性におすすめの栄養素と食事内容

次に妊活中の男性におすすめの栄養素と食材例について解説します。

1.亜鉛|魚介類や肉類、海藻類から摂取する

亜鉛は、精子の形成や運動能力の維持に関わっていると報告されています。欠乏すると精巣萎縮や精子減少を誘発する恐れがあります。

成人男性に必要な亜鉛の摂取量は1日9〜9.5mgほどです。以下を参考にして、十分な量の亜鉛を摂取しましょう。

亜鉛を豊富に含む食品や食材 亜鉛含有量(100gあたり)
発芽玄米 0.9mg
玄米 0.8mg
ピュアココア 7.0mg
そら豆(ゆで) 1.9mg
カシューナッツ(フライ) 5.4mg
アーモンド(フライ) 3.1mg
輸入牛リブロース(焼き) 6.3mg
牛ヒレ(焼き) 6.0mg
牛ひき肉(焼き) 7.6mg
若鶏もも(皮付き焼き) 2.5mg
豚ロース(脂身付き焼き) 2.2mg

2.不飽和脂肪酸|青魚を意識的に取り入れる

ω-3PUFA(オメガ3多価不飽和脂肪酸)の、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)には、精子の質の維持や改善に役立つ可能性があると報告されています。DHAとEPAは、サンマやサバ、カツオ、イワシなどの青魚に豊富に含まれています。妊活中の男性は青魚を意識的に摂取すると良いでしょう。

妊娠に備えて避けたい食べ物・飲み物

妊活中に絶対に食べてはいけない食材があるわけではありません。ただ、予期せぬタイミングで妊娠が判明することもあります。妊娠初期は胎児の重要な臓器が形成される大切な時期ですが、自分では妊娠に気づいていない場合もあります。そのため「いつ妊娠がわかっても安心できる食事」に切り替えておくとよいでしょう。

以下は妊娠中に気をつけた方がいい食べ物・飲み物です。

1.加熱していない食品

以下のような「加熱していない食品」「食べるときに加熱を必要としない調理済みの食品」は、リステリアという細菌による食中毒を引き起こすリスクがあります。

  • ナチュラルチーズ(加熱していないもの)
  • スモークサーモン
  • 生ハム
  • 肉・魚のパテ

妊娠中にリステリアによる食中毒を引き起こすと、早産や流産の原因となったり胎児に影響が出たりすることもあります。リステリアは4℃以下でも増殖できるため、冷凍により死滅させることはできません。前述したような普段加熱しない食品は、妊娠の可能性がある時期は、加熱する・または避けるようにしましょう。

2.加熱が不十分な肉

加熱が不十分な豚肉や羊肉などには、トキソプラズマという寄生虫が潜んでいることがあります。妊娠中にトキソプラズマに初めて感染すると流産や死産のリスクを高めるほか、胎児に先天性トキソプラズマ症(水頭症などを引き起こす感染症)を発症させる危険性があります。

トキソプラズマ感染を防ぐためには、食肉は中心部までしっかりと加熱することが大切です。また、トキソプラズマは猫の糞便にも含まれていることがあります。海外では井戸水や湧き水から感染した事例もあります。動物に触ったあとや外出後、調理前、食事前は手洗いを徹底しましょう。

3.アルコール飲料

妊娠中に飲酒をすると、胎児性アルコール症候群を引き起こす恐れがあります。発症すると、胎児に以下のような影響を与える恐れがあります。

  • 特異的な顔貌(がんぼう)
  • 発達の遅延
  • 中枢神経系の障害

胎児性アルコール症候群の予防方法は、妊娠中に飲酒しないことです。飲酒による胎児への影響は、妊娠中のどの段階においても引き起こされる恐れがあります。

妊娠がいつわかっても安心できるよう、飲酒は控えるようにしましょう。また、妊娠中に飲酒をしないようにするために、妊活中から節度のある飲酒を心がけてください。

妊娠に備えて摂り過ぎを注意したい食べ物・飲み物

万が一妊娠が判明しても慌てずに済むよう、以下の食品・飲料は摂り過ぎに注意しておきましょう。

1.ビタミンAが豊富な食品

ビタミンAは胎児の発達に必要な栄養素です。しかし、妊娠3ヵ月までにビタミンAを取り過ぎると、胎児に奇形を引き起こす恐れがあります。

妊娠に向けた貧血対策にレバーを多く食べようとすることがあるかもしれません。しかし、レバーにはビタミンAが豊富に含まれているため摂取を控えてください。例えば、焼き鳥のレバー3分の2本(約20g)で、ビタミンAを2,800ugRAE摂取することになり、1日で摂取してもよい量を超えてしまいます。

1度でも食べ過ぎたら危険というわけではありません。もしも、食べ過ぎた場合は当面は控えましょう。また、葉酸サプリメントやマルチビタミンにも、ビタミンAが配合されていることがあるため注意してください。

2.カフェインを多く含む飲料

カフェインは妊娠中に取り過ぎると、胎児の発育に悪影響を与えるリスクがあります。ゼロにする必要はありませんが、カフェインの摂り過ぎには注意してください。

妊婦の健康に悪影響がないカフェイン摂取量は、世界の保健機関等が目安を提示しています。以下を参考にして取り過ぎないようにしましょう。

機関名 妊婦の健康に悪影響がないカフェイン摂取量
世界保健機構(WHO) 1日300mg以内
カナダ保健省 1日300mg以内
欧州食品安全機関(EFSA) 1日200mg以内
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飲み物 カフェイン含有量
コーヒー 120mg(200mL)
カフェインレスコーヒー 12mg(200mL)
紅茶 60mg(200mL)
ウーロン茶、煎茶 40mg(200mL)
麦茶、そば茶 0mg(200mL)
エナジードリンク 142mg(355mL)
眠気防止剤 150mg(50mL)
栄養ドリンク 50mg(100mL)

(出典:食品安全委員会 お母さんになるあなたと周りの人たちへ

メーカーなどにより、カフェイン濃度などは異なるため、参考程度に留めてください。

3.大豆イソフラボンを含む大豆食品

大豆イソフラボンが胎児に与える影響に関しては、さまざまな報告がありますが十分なデータはない状態です。食品安全委員会は、妊婦・胎児にどのような悪影響を与えるのか判断できないため、必要以上の摂取を推奨していません。

大豆イソフラボンの安全な摂取量を一般成人の上限基準値である70〜75mgとされています。たんぱく質を摂る際は、大豆食品ばかり摂取せず魚や肉などをバランス良く食べるようにしましょう。大豆食品の大豆イソフラボン含有量は以下の通りです。

大豆食品 大豆イソフラボン含有量(100gあたり)
煮大豆 72.1mg
豆腐 20.3mg
納豆 73.5mg
豆乳 24.8mg

(出典:食品安全委員会 お母さんになるあなたと周りの人たちへ

4.メチル水銀を含む大型の魚類

マカジキやキダイ、ミナミマグロなどの大型の魚類には、メチル水銀が多く含まれている恐れがあります。妊婦が大量のメチル水銀を摂取すると、胎児の神経系に悪影響を及ぼすリスクがあるため食べ過ぎに注意してください。気にする必要のない魚と、取り過ぎを注意すべき魚は以下の通りです。

気にする必要のない魚

ツナ缶、サケ、アジ、サバ、イワシ、サンマ、タイ、ブリ、カツオ、キハダ、ビンナガ、メジマグロなど。

取り過ぎを注意すべき魚

キダイ、マカジキ、ヨシキリザメ、イシイルカ、キンメダイ、ユメカサゴ、クロマグロ、メバチマグロ、ミナミマグロなど。

妊活中に食事以外で注意すべき2つのこと

食事だけでなく、日々の暮らし方も妊活に影響します。妊娠しやすい体へと整えるために、心身ともに健康な状態をキープしましょう。

1.適切な体重を維持する

やせ過ぎや太り過ぎは、妊娠と出産に良くありません。肥満は流産や早産のリスクを高めます。妊娠高血圧症候群を発症しやすくなり、胎児の発達に悪影響を与えることがあるためです。

健康的な体重維持の目的だけではなく、体力作りやストレス発散のためにも、ウォーキングやストレッチ、ヨガなど負担の強すぎない運動を取り入れましょう。

やせ過ぎも早産や低体重児のリスクが高まります。過度なダイエットなどはしないで、健康的な体重を維持するようにしてください。

2.禁煙、そして受動喫煙にも注意する

たばこは以下のように女性の生殖能力に悪影響を与える恐れがあります。

  • 卵胞の成長を阻害する
  • ホルモンバランスを乱す
  • 卵子の老化が進む
  • 閉経が早まる

また、妊娠中も喫煙を続けると、死産や新生児の死亡、重症の合併症、低体重児などのリスクが高まるとされています。男性においてもたばこを吸う人は、精子の数の減少や運動能力の低下、勃起不全を引き起こすリスクがあると言われています。子どもを望む男女は禁煙を心がけ、受動喫煙にも注意しましょう。

まとめ

妊活中は偏った栄養の食事とならないよう気をつけ、炭水化物、ビタミン、ミネラル、たんぱく質などをバランス良く食べることが大切です。

また、妊活中は、いつ妊娠が発覚してもおかしくない時期です。急に妊娠がわかっても慌てることがないよう、胎児に悪影響を与えるリスクがある食べ物・飲み物も避けておくことをおすすめします。

とはいえ、自分に必要な栄養や避けたほうがよい食材をすべて把握するのは難しいもの。

不安や迷いがある方は、ぜひケアコーディネーターにご相談ください。あなたの体調やライフスタイルに合わせて、食事や生活習慣のアドバイスをお届けします。

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